家庭菜園や有機栽培で虫が出たときの無農薬での対処方法や予防対策

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野菜やハーブを家で育てるならではの良さはたくさんあります。

その中でも大きなメリットは、農薬を使わなくていい=安心して食べられるということではないでしょうか。

オーガニック野菜がいいとは分かっているけれど、毎日買うのは高くて続かないというご家庭も多いかと思います。

もちろん我が家もそういう理由で自分で少しずつ野菜やハーブを育てるようになりました。

スーパーでは絶対売れ残るであろう色や形、虫食いなどの野菜も、自分で育てれば安心して食べられますよね。

むしろ、最近ではきれいに整った野菜というのが怖くすら思えてきました。

とは言っても、無農薬で育てるにはなかなかの根気が必要ということも分かりました。

毎日観察していても、やっぱり何かしらいるのです。

バジルや大葉にはベニフキノメイガの幼虫、サニーレタスとサンチュにはシャクトリムシ。

ナスの葉にはカイガラムシやハダニ、テントウムシダマシにバッタ、チャービルの根元にはコガネムシの幼虫。

モミジには小さなアリ。虫ではないですがローズマリーはうどん粉病のカビなど。

そして、発見するたび農薬を使わずに被害を減らす方法をいろいろと試しています。

今回は、私が実際に試して効果のあった方法を紹介したいと思います。

害虫が出た時の対処方法

まずは家庭菜園のプランターなどで野菜や植物の生育が阻害されるような虫が出た場合。

私が日頃行っている方法はこちらです。

①捕獲

とても地道ですが、手やピンセットで捕獲する方法です。

葉が重なり合っている部分や裏側などを丁寧に観察し、目と手を使って確実にとっていきます。

虫そのものだけでなく虫の卵なども同時に発見できるので、被害が少ないうちにぜひやっつけてしまいましょう。

我が家の場合、6月頃の蛾や蝶の幼虫類は、なかなかの強敵でした。

びっくりするほど食いしん坊で、葉もあっという間に食べられるし黒いフンも大量。

彼らは大概葉の裏に潜んでいて、葉ととても似た色をしているので私は見つけるのにとても苦労していました。

見つけたと思ってピンセットでつまみ出し、葉についたフンを洗い流します。

けれども、数時間経って見に行くと、またまた黒いフンだらけなのです。

はぁー。またかー。とため息混じりに落ち込んでいました。

しかし、虫好きな息子を助っ人に呼んでみたところ、いとも簡単に見つけ出してくれたのです。

子どもの方が視点が低いからでしょうか。それとも葉を見て葉と思い込んでしまう固定概念がないからでしょうか。

とにかく10匹以上のシャクトリムシを、ものの数分で捕まえてくれるのでとても助かったのです。

我が家では虫取りマシーンならぬ、虫取り少年が大活躍してくれました。

ここからは余談ですが、予想外のことも起きました。

シャクトリムシの可愛さに息子は「全部飼う!!」と言い出してしまったのです。

そして、結局虫かごで大量のシャクトリムシを飼うことになってしまいました。

将来蛾になることも伝えたのですが、どうしても可愛い幼虫の間の動きを見ていたいとのこと。

私としては栽培している植物から離してくれるのならまぁ仕方ないかなと。

その日以来、シャクトリムシを見つけるたびに虫かごに移してあげました。

そして、いつもは間引いてコンポストに入れていた葉を虫かごに入れてあげることにしました。

後で分かったことなのですが、7月に入ると次々と糸でベールを作り、その中でじっと蛹の準備に取り掛かっていました。

つまり、この時のために幼虫時代は爆食いしていたんだなぁと思わず納得。

息子が虫好きでなければ私もここまで観察しませんでしたが、よくよく見ると虫の世界もなかなか面白いものですね。

②牛乳

アブラムシやハダニなどの小さな虫は、牛乳に含まれるタンパク質の膜によって窒息してしまうようです。

私は、これらの虫を見つけたらダッシュでキッチンに向かい冷蔵庫を開けます。

小さめのスプレー容器に水と牛乳を1:1で入れ、葉の裏や表にシュッシュとスプレーします。

できるだけお天気の良い日のなるべく早い時間帯にかけて乾かします。

乾いたら牛乳は白くなるのでジョウロで水をやって流します。

この方法はとても簡単ですし、普段口にするものなので、洗剤などよりも抵抗がなく使用できますね。

③重曹

我が家では掃除や料理に重宝する重曹をキッチンに常備しているのですが、家庭菜園でも活躍してくれます。

アルカリや膨らむという性質を生かして、虫や土壌に影響を与えることができるのです。

まずは、アブラムシやハダニなどの小さな虫。

テープの粘着でとってしまうのも一つですが、範囲が広い場合や予防として使いたい場合は重曹スプレーがオススメです。

ただし、重曹は水に溶けにくいため、ひと工夫する必要があります。

  • まずはスプレー容器に重曹小さじ1/2と食用オイル10mlを入れてよく混ぜて、水を250ml加える。
  • さらに食器用洗剤や石鹸などを少し入れてよく混ぜる。(1,2滴ほど)
  • 完成したら、ボトルをよく振ってからスプレーして使う。

このように界面活性剤の力を少し借りて混ざりやすくすると使いやすいです。

さらに、重曹は虫対策だけでなく、うどん粉病などのカビ対策にも使えます。

アルカリ成分がカビの菌を死滅させてくれるのです。その場合は重曹を500〜1000倍で薄めて使います。

ここで「濃度を高くすればもっと効くのでは?」と思うかもしれません。

しかし、アルカリ成分というのはカビ菌だけでなく植物自体にも影響を及ぼします。

強すぎると植物の葉が傷むなどの悪影響が出てしまうため、必ず薄めて使ってくださいね。

また、蟻対策に重曹を使いたい場合は、重曹と砂糖を1:1で混ぜ合わせ、少量の水で溶いてください。

蟻がよく通る道にそれをスプーンなどで点状に置いていきます。

数日するとアリがほとんどいなくなっているのでビックリしますよ。

これは、蟻のお腹の中で、砂糖と一緒に食べた重曹と蟻自身が持っている蟻酸が反応し、死んでしまうそうです。

しかし、蟻は花粉を運んできてくれたり、蛾の卵などを運んでいってくれたり、良い面もたくさんあります。

植物の根元に作る巣道によって、しばらく雨が降らなくても水を蓄えられるようになったりもします。

なので、蟻に関してはあまりに多い時以外は様子を見るようにしています。

ちなみに、我が家の重曹の主な使い道としては、3つほどあります。

  1. 毎晩の布巾の煮洗い
  2. パンケーキやハンバーグのふくらし粉
  3. コンロの五徳周りのこびりついた汚れ取り

あまりイメージはないかもしれませんが、重曹は火消しにもなります。

実は消化器などの粉末消化剤としても使われているのです。

何かと強い味方なので、我が家では常に瓶に入れてキッチンにスタンバイしていますよ。

③コーヒー

コーヒーはホッと一息できる美味しい飲み物で、好きな方も多いのではないでしょうか。

しかし、成分で見るとカフェインが含まれていて、苦味や酸味もあり香りも強いです。

実はこのような性質が苦手な虫も多いのです。

コーヒーの虫除け効果があると言われている虫は主に以下の5種類です。

  • ネキリムシ
  • ヨトウムシ
  • ネコブセンチュウ

この中で、ネキリムシ、ヨトウムシ、ネコブセンチュウは基本的に土の中に潜んでいます。

そのため、目視で虫そのものを見つけるのはなかなか難しいです。(そもそもセンチュウは肉眼ではほぼ見えない)

なので、植物に症状が出て始めて気付くことが多いんですよね。

症状が出て対策したい場合は、よく乾燥させたコーヒーの出がらしを土の中に入れ込みます。

一箇所にまとめて入れるのではなく、何箇所か穴を掘って埋めるようにして入れてくださいね。

そして、ポリフェノールやカフェインなどは植物にとっても影響を及ぼすため、様子を見ながら使用する必要があります。

なにしろコーヒーの出がらしは雑草対策に使われることもあるくらいですから。

一部の虫対策に効果があっても、育てたい植物の生育阻害になってしまっては本末転倒ですよね。

なので必ず少量ずつ様子を見ながら試してみてくださいね。

また、蚊よけに使う場合、コーヒーカスを燻すと蚊取り線香のような効果があるそうです。

(しかし、焦げたような匂いがするため、使用する場所は考えた方が良さそう)

それから、蟻対策として使う場合には、蟻の通り道に置いておくと数日でいなくなります。

これは蟻がコーヒーの匂いを嫌うという説と、蟻の出すフェロモンの匂いを消すという説があります。

どちらが有力なのは定かではありませんが、いずれにせよ蟻が死なずに寄ってこないなら一番優しい方法かなと思います。

なので、私は蟻対策をしたいときはまずこの方法を取り入れています。

④木酢酢

木酢液は木炭や竹炭を焼くときに出る煙を冷やして液体にしたもので、日本でも昔から使われてきました。

濾過して不純物が取り除かれた木酢液は、殺菌作用や抗菌作用などがあるのです。

さらに微生物の活動を活発にし、土をふかふかにしてくれる効果もあります。

また、燻したような香りが苦手な虫も多いため、害虫対策にもなるのです。

なんとも嬉しいことだらけなので、私も定期的に水やりのときに木酢液を混ぜて散布していますよ。

害虫を寄せ付けない予防対策

害虫は出てから対策するだけでなく、事前に寄せ付けないよう対策することも重要です。

上記に挙げた中に予防として使えるものもありますが、それ以外にも下記のような予防対策が簡単で取り入れやすいです。

①ハーブ

植物は香りや棘などを使って、虫や外敵から自分自身を守っています。

その特徴を活かして、発生しやすい虫の近くに、その虫が苦手な植物を育てていれば虫除けになります。

もちろん自然のものなので効果は穏やかですが、ハーブ類の中にはそのような忌避作用のある植物が多く存在します。

例えば、フレンチマリーゴールドは毛虫やアブラムシ、アオムシなどの虫除けに。

バジルはアブラムシやショウジョウバエなどを寄せ付けないようにしてくれます。

さらに、これらのハーブ類が活躍してくれるのは、植物や野菜の虫対策だけではありません。

犬などのペットの近くや、玄関やベランダなど人の出入りが多いところに置くと、自然な香りで虫を遠ざけてくれるのです。

私はこれらのハーブを育てるだけでなく、ドライハーブを防虫剤として使っています。

また、植物から抽出された精油を使って、普段の暮らしに取り入れていますよ。

虫除けスプレーなども忌避効果のある精油で作れば自分好みの香りで作れますし、とてもオススメです。

②マルチやネットなど

虫は卵を産み、幼虫から成虫へ成長していきます。

なので、初期段階で卵を産みつけられないようネットなどで工夫すれば被害を最小限に抑えられます。

そして、マルチで幼虫や土に潜る虫が入り込まないよう対策します。

酸性を強めたい場合は、腐葉土やお茶の出し殻。

アルカリ性にしたい場合は、コンポストやもみがら、卵の殻などを使うといいです。

これらのオーガニックな材料のマルチングはやがて分解されて土の栄養にもなります。

また、虫除けだけでなく、夏の間は土の乾燥を防ぎ、冬には寒さから植物を守ってくれます。

まさに一石三鳥ですね。

③オニヤンマくん

これは虫の天敵であるオニヤンマを模したもので、所謂かかしの虫バージョンのようなものですかね。

使ったことのある人の体験記を読む限りでは、そこそこ効果が期待できそうです。

プランター近くにぶら下げておくだけでも、蚊やハエ、アブ、ブヨ、カメムシ、蜂などの対策になるのだとか。

また、蝶や蛾なども寄り付かないようで、結果的に産卵される可能性も低くなるようです。

それから人に対する虫除けにも効果が期待できそうです。

私も長時間外で作業する時は、帽子やベルトループにつけて使用していますよ。

未来の虫対策

テクノロジーが進化していく中で、これからの農は虫対策や雑草対策にもAIが次々と取り入れられていくかもしれません。

例えば、今までは害虫を農薬などで対策していましたが、レーザー光で撃ち落とす技術が開発されています。

他にも害虫の天敵となる虫を育成して捕食したり、共生微生物を使って害虫の密度を低下させたりする実験も行われています。

これらは確かに、農薬を使うことと比較すれば、大気や土壌に対する害や作物への悪影響が少なくて済むかもしれません。

世界的な人口増加と食糧危機を考えれば、なんとかして食料を生産しなくてはならない時代ですしね。

しかし、人類だけでなく地球上全ての生き物を見たとき、私は疑問を感じてしまいます。

生態系を操作しているようでどうしても不自然さを感じてしまうのです。

私は、お掃除ロボットや自動調理器が普及した現在でも、箒で掃除し土鍋でお米を炊いています。

海外製の低価格な衣類が手に入る時代に、布を裁断して服を作っています。

おそらく農に対するハイテクな物が次々に生まれても、私は昔ながらの道具や手作業で地道に続けていくんだと思います。

もちろん効率や生産性を求めれば、テクノロジーに頼らない手はないのだけれど。

手間や時間がかかっても、いや、手間や時間をかけてこそしか感じられないこともあるのです。

そういう感覚が好きで、やっぱり手を動かしてしまうんだと思います。

家庭菜園で虫にお悩みの方、まずは昔からあるものや身近なのもので解決する方法、ぜひ試してみてくださいね。

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