こんにちは。自然と寄り添い心地よく、人にも地球にも優しい暮らしを目指しているyurarhythmです。
私は、以前ナチュラルクリーニングのワークショップやセミナーの講師を務めていました。
今回はその経験も活かしながら、重曹を使ったお掃除について解説していきたいと思います。
重曹はもともと自然界に存在しているもので、安全性の高い洗浄剤としてお掃除に活躍してくれます。
実は、人の体の中でも重曹に含まれている炭酸水素イオンが酸素や二酸化炭素の運搬に関わってくれているんですよ。
お掃除では、「粉のままで」「水を足してペースト状にして」「スプレー容器に入れて重曹水にして」と様々な使い方ができます。
しかし、万能といわれている重曹ですが、苦手なことや使うとよくないものもあるんです。
昔の私のように失敗しないためにも、ぜひ特徴を把握した上でお掃除を楽しんでくださいね。
今回はお掃除場所別の使い方と、最後に注意事項をお伝えしていきます。よろしくお願いいたします。
もくじ
重曹を使ったナチュラルクリーニング【キッチン編】
重曹は、ナチュラルクリーニングに使うアルカリ剤の中でも特に手肌に優しい洗浄剤です。
我が家では料理にもよく使うので、こちらの食用グレードの重曹を常備しています。
手肌に優しく食品でもあるということで、安心安全に使える点はとても良いですよね。
お子さまと一緒にお掃除するときなどにも使っていただきやすいと思います。
しかし、手肌に優しいということは、その反面汚れの落ちやすさもマイルドということ。
それでは、他のアルカリ剤と比べたときに重曹が優れている点といえば何でしょう。
重曹が得意なことに着目して具体的な掃除方法をお伝えしていきます。
重曹の得意技 【こびりついた汚れ落とし】
重曹が得意なのは研磨です。水には溶けにくいですが、お湯には溶けやすく、アルカリ性濃度も高まります。
(少し専門的な話になりますが、重曹は加熱すると二酸化炭素が排出されて、炭酸ナトリウムにかわるのです。
通常の重曹水は約8.0〜9.0の弱アルカリ性なのですが、加熱した重曹水のアルカリ性濃度は約11.0まで上がります。)
つまり、鍋の焦げ付きなどのこびりついた汚れに効果を発揮してくれるんですね。
ただし、後述しますがアルミや銅製品には使用しないでくださいね。変色してしまう可能性があります!
使い方は簡単。まず、鍋やフライパンに水と重曹小さじ1程度を入れ、火にかけます。
(重曹は膨らむ効果があり、吹きこぼれることがあるので、水を入れすぎないように注意してくださいね。)
5分ほど加熱したら火を止めてしばらく放置します。
汚れ具合によりますが、2〜3時間したらブラシで擦ります。
今まで必死に頑張って擦っていたのが嘘のように、あっという間にこびりついた汚れが取れますよ。
また、お掃除するときはブラシ選びも気をつけてみると、力要らずでキレイになることが多いですよ。
重曹の得意技 【油汚れ落とし】
布巾などは普通に洗濯するだけではなかなか汚れが落ちにくいですよね。
私は毎晩の日課として、鍋にその日使ったさらしや台拭き、びわこ布巾などをまとめて入れて煮洗いしています。
その時に重曹も入れると油汚れなどが落ちやすくなりますよ。沸騰したまま5分ほど煮ることで煮沸効果もあります。
更に火を弱めて10分ほど煮たら完了です。
菌の繁殖を考えると、その後はできるだけ早く冷たい水に入れたほうがよいのですが、私はそこまで気にしていません。笑
重曹を使ったナチュラルクリーニング【お風呂編】
お風呂は毎日頭や体を洗う場所なので、皮脂や垢が溜まりやすいですよね。
重曹は皮脂汚れにも強いので、日常的な軽い汚れならすんなり落としてくれます。
また、重曹水をスプレーしてこすり洗いすると浴室のタイルや壁の汚れも落ちますよ。
重曹の得意技 【手肌に優しい汚れ落とし】
重曹は入浴剤にも使える優れものです。いつも通り浴槽にお湯を溜めたら重曹を大さじ1程度入れるだけ。
お風呂に入れるとアルカリ温泉と同じような効果が期待できる上に、そのままお掃除に使えるんです。
体もキレイになって更に浴槽のお掃除にもなるなんて最高ですよね。
お湯を流す時に擦り洗いするだけでよいので、洗剤要らずな上、時短にもなりますしね。
また、浴室の大敵といえばなんといってもカビ。
時間が経ってしまったカビには効きませんが、ピンクカビなら重曹で落ちますよ。
水100mlあたりに重曹小さじ1を加えて作った重曹スプレーを吹きかけて、ブラシで擦るだけ。
「おおー!!取れたねぇ」と言いながら息子も楽しんでやってくれています。
(重曹は水に溶けにくいので、よく振って使うか、お湯で溶かしたものを冷ましてから使ってくださいね。)
お子さまがおられる方は、浴室の壁に貼るタイプのポスターやおもちゃなどを使われている家庭も多いのでは。
普段からこまめに乾燥させられたらよいのですが、つい貼ったままにしてしまうことも。
定期的に剥がして場所を移動させ、裏面や壁もキレイにしてくださいね。
重曹を使ったナチュラルクリーニング【洗面所編】
洗面所は、家族が毎日顔を洗ったり、手を洗ったり、歯磨きしたり、髪の毛を整えたりと身だしなみを整える場所。
つまりそれだけ汚れもつきやすい場所ということ。
重曹の得意技 【ざらつき汚れ落とし】
洗面ボウルは毎朝お掃除する習慣を身につけておけば、重曹でも十分キレイになります。
重曹をそのまま振りかけても良いですし、重曹スプレーしても大丈夫。
さらしなどで擦り洗いすればツルツルになりますよ。
洗剤要らずのメラミンスポンジは、一見とてもエコに見えますが、実はマイクロプラスチックが大量に流れ出てしまいます。
排水溝のその先を考えるととても怖いですよね。
重曹と布を使えば地球に優しくキレイが叶いますよ。
重曹のナチュラルクリーニングで使ってはいけない素材
万能といわれている重曹にも苦手なものはあるんです。
というよりかは、長所は短所、短所は長所ともいうべきでしょうか。
アルカリ成分がタンパク質を分解したり緩めたりするからこそ、油汚れなどを落としてくれます。
しかし、だからこそアルカリが反応してしまうわけで。
アルカリに弱い素材は変色や変質してしまうんですよね。
重曹を「使ってはいけない!」はコチラ。
- アルミ
- 銅
- 天然素材
- 漆
ひとつずつ解説していきますね。
アルミ
アルミってキッチン周りに意外と多いんです。鍋やフライパンの素材はもちろん、換気扇のフードフィルターなど。
私が過去に失敗した重曹事件がこのフードフィルター。あれは重曹掃除を始めたばかりの頃でした。
黒い塗装がされていたため、アルミ素材とは気付かず。
「油汚れにいいのよねぇ〜」と鼻歌混じりにウキウキしながら重曹片手にお掃除を始めました。
ベトベトになった換気扇と共に、フード部分にも重曹をふりかけてゴシゴシ擦り始めたその時です。
するとあれよあれよと塗装がまだらに剥がれていき、あらわになったアルミ部分もなんだか変色(汗)。
それ以来、「アルミに重曹は絶対使わない」と心に誓ったのでした。失敗は何よりも学びになりますね。
ただし、万が一アルミ鍋などに重曹を使って変色してしまった場合。
実は、アルミは重曹に限らずアルカリ性が強いものに反応するので、だんだんと黒ずんでしまうことがあります。
ここで出てくるのは、「これって身体に悪いんじゃないの?」という疑問。
しかし、結論から言うと人体には無害なんです。
なぜなら、この黒ずみというのは水や食品に含まれる成分でできているから。
それから、黒ずみの原因は「水酸化アルミニウム」と呼ばれる無機化合物なのですが、これは不溶性で水には溶けないんです。
つまり、黒ずんだアルミ鍋で調理したものを食べても、口に入らないんですよね。
しかし、見た目があまりよろしくないので、その場合はレモンなどの酸性のものを使ってキレイにする方法もあります。
兎にも角にも、アルミに重曹(アルカリ)はNGと覚えておけば、失敗を最小限にとどめられるでしょう。
銅
銅製品の調理器具って憧れますよね。フランス料理店や洋菓子店などでよく目にするブロンズの鍋とか。
銅は、熱伝導性がいいので満遍なく熱が行き届き、食材にムラなく火が通ります。
しかし、お手入れを怠ると焦げや錆などが発生し、台無しに。
そして、銅もアルミと同じくアルカリに弱い金属なのです。
つまりお手入れには中性か酸性のものがよいということですね。
では、重曹やアルカリ性の食品を気にせず使える調理器具って何?と問われると、鉄やホーローです。
私はアルミや銅の扱いに自信がないので(笑)、ガシガシ使える鉄とホーローを愛用しています。
フライパンはビタクラフトのスーパー鉄。28cmと26cmの二種類。
我が家は私と夫と6歳の息子の3人暮らしですが、28cmの方が出番が多いです。
チキンステーキやハンバーグ、チャーハンなども全部このフライパンで。
鉄製のフライパンは錆びたりお手入れが大変だったりしますが、これは錆びにくく使用後の油引きも要らないので楽ですよ。
一方、鍋はホーローを使っています。ソースパンも大きな鍋もホーローです。
カレーやシチュー、パスタを茹でたりハムを作ったりするのはこちらの両手鍋。
スープやソースはこちらを愛用。毎日の煮洗いにも活躍してくれています。
色はどれも白一択。見た目も可愛いですし、汚れも見えやすいのでお掃除のタイミングが分かりやすいですよ。
漆器
漆器はそもそも持っていないという方も多いかもしれませんが、重箱やお椀などによく見られる工芸品です。
赤色や黒色が多いですが、これは漆を採取して作られます。さまざまな工程を経てできる塗料なんですね。
この塗料を素材に何度にも重ねて塗ることにより、漆器が完成します。
しかし、重曹には研磨作用があるんでしたよね。漆器に重曹を使うと、この塗料が剥がれてしまうのです。
天然素材
主に塗装されていない木材や、イグサ、ジュートなどの天然素材には重曹のアルカリが反応してしまうことがあります。
我が家もそうなのですが、床が無垢材でできているというお家は重曹を使わないでくださいね。
木材に含まれているタンニンと重曹のアルカリが反応して黒ずんでしまうのです。
(一般的に多く普及している合板フローリングやクッションフロアの床は大丈夫ですよ。)
また、イグサでできている畳やジュートでできているラグ、動物の皮からできた革製品なども要注意。
これらの天然素材には、タンパク質が含まれているのですが、これと重曹のアルカリが結びついて変色してしまうのです。
自然のものなのに重曹が使えないってなんだかなぁと思うかもしれませんね。
しかし、それは人間にとってどう感じるかというだけの話。
人間にしてみれば汚れを落としたりお肉を柔らかくしてくれたりすると嬉しいですよね。
一方で、大切なものが色落ちしたりシミができたりすると悲しくなります。
それらは全て、自然界の中では単なる化学反応でしかないんですよ。
家の中でひとつひとつ見ていくと、あれにはいい、これにはダメという使い方が出てきます。
しかし、地球という大きな規模で見てみると。
重曹は、自然界の海や川や温泉などのあらゆる水に含まれ、遠い昔から絶え間なく地球の浄化を担ってくれているんです。
重曹の歴史については長くなりそうなので、また別の機会にお話ししますね。
まとめ
重曹を使ったナチュラルクリーニングの方法と使ってはいけない素材について。いかがでしたか?
最初は使い方を間違えてしまうことも、あまり効果が感じられない使い方をしてしまうこともあると思います。
私がそうでしたから(笑)。しかし、何度も使っているうちに、重曹の強みや弱みが分かってきます。
暮らしにナチュラルクリーニングを取り入れていくと、洗剤のボトルが並んだ光景を目にすることがなくなります。
専用の洗剤やストックの買い置きも必要ないので、買う時間もお金も節約できるようになります。
さらに、なんといっても人に優しくて地球にも優しいというのが最大のメリット。
いくら自分の家がキレイになっても、海や土壌や大気が汚れてしまっては悲しいですよね。
ほんの少し先の未来や繋がりを想像するだけで、なんだか優しい選択ができることがあります。
あなたもぜひ、無理なく無駄なく心地よく。お掃除を楽しんでみてくださいね。
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